Introducion
チャンソ...
1989年、大阪朝鮮高級学校に通うチャンソは、民族と大阪朝高の伝説の皮をまとい毎日を過ごしていた。
強くなければ居場所を確保できない場所〈チャンソ〉で、ある日一人の日本学校の生徒に打ちのめされる。
一方、民族楽器部でカヤグムを弾く少女ソナは、廃部が迫る中で時代と伝統に場所を捜し求める。
次第に『場所』を失っていくチャンソとソナが越えるべきものは・・・
差別と暴力、体罰が日常に蔓延していた時代は、果たして今より過ごしにくい時代だったのだろうか?
その時代に生きた若者たちは何を考え、どう大人たちと向き合って成長してきたのだろうか?
この物語はフィクションですが、脚本・演出を手掛ける金氏の実体験を元に作り出された、現代社会に強烈なメッセージを残すエンターテイメントです。
学生演劇祭プロデュース...
このプロデュース公演は学生演劇祭のプロデューサーが30年間で2,200本以上観劇した中で、感銘を受けた作品を毎年1作品、10年間上演していく企画です。
コンセプトは「若手中心のキャスティングで、全年齢のお客様がワクワクするアツい作品を作る」
そして30年後に語り継がれる作品を作っていきます。
作品・公演スタイル・演出・スタッフは固定しません。その作品に合ったスタイルで一から作品を作り上げていく。これが学生演劇祭プロデューススタイルです。
今は過去作品中心ですが、近い将来学生演劇祭の最優秀作品をプロデュースしていきます。
脚本・演出
金哲義
Kim Chol Ui
1971年大阪生まれ。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)を卒業後、劇団メイを旗揚げ。
SF・会話劇・コメディー、マダン劇と多様ではあるが、己のルーツ「在日」を作品内に全面的に打ち出し、在日・日本人の区別なく好評を得ている。
ライブハウスでのパフォーマンス等、演劇以外にも表現を求め、また外部への客演や、演出、脚本提供も行う。
新宿タイニイアリス主催アリスフェスティバルにて「風の市」(2007年度)、「夜にだって月はあるから」(2009年度)、「零度の掌」(2015年度)でAlice賞を3度受賞。
2011年日本演出者協会主催・若手演出家コンクール2010にて「晴天長短」を上演し、最優秀賞及び観客賞を受賞。
同年9月、應典院舞台芸術祭space×drama2011にて「夜にだって月はあるから」を上演し優秀劇団に選出される。
久しくルーツである韓国・済州島へ渡航が叶わなかったが、2010年以降、有志の協力にて数作品を韓国へ送りだす。
2018年には渡航許可を得て、第12回4・3平和人権マダン劇祭に「ホライズンマーチ」で参加。
現在は劇団活動の傍ら、大阪朝高演劇部希望の顧問として積極的に活動。
こちらは第4回30GPにてベスト4進出、第37回大韓民国演劇祭に招致、と急成長中
僕はむしろ「なぜ、こんな今の時代に《チャンソ》なのですか?」と問いかけた。
その問いにまるで「なにを言ってるんだ?」というように「今の時代だから《チャンソ》なんです」と答えが返ってきた。
タブーはどこから生まれるんだろう?それは決して外からはやってこない。自分の中の怯えからしか生まれてこないんだ。幾多の時代のタブーの海で僕はいつだって《面白いものを、ただ面白く》そう想って作ってきたはずだった。でも、いつしか僕もタブーの浅瀬に足を浸らせていたのだろうか?
細い線を辿って《面白いものを、ただ面白く》の想いは伝わっていたのかも知れない。そこに縁が宿り、人が集い、そして新しい時代が集って「おい、おっさんたち。俺らが代わりに叫んでやる」というふうに、全身を沸騰させてくる。その姿を見て実感する。
人間は死ぬ最後の瞬間まで出会える。
金 哲義